No.15 良い演奏をした後のスランプ バリトン歌手・合唱指導者 佐野正一

No.15 良い演奏をした後のスランプ

良い演奏をした後、
なかなか、その演奏を越えることが
できなくなることがあります。

そして、
その同じ曲の歌を歌えば歌う程、

演奏の質が悪くなってしまうことが
往々にしてあります。

いわゆるスランプです。


私は、その状態については、
この様に思っています。

良い演奏をすると、

その良かったという演奏の結果だけが
印象に残ってしまいがちです。

そして、その結果のみを
頭で追ってしまい、

コピーを重ねたビデオや文字のように
どんどん画質が悪くなってしまうのに、

良く似ているのではないかと
思っています。


ですから、演奏する時は、
前にどんな良い演奏をしたとしても、

その日の感覚を大事にして、

どの様な課程を踏んだら、
その演奏が出来上がったのかという
その課程をたどりながら、

「それにより、
前の結果より悪い演奏になってもかまわない、

それが今日の演奏だから」

と自分に言い聞かせて
歌うようにしています。


すると、

前回の良かった時の演奏とは違った、
新しい世界観の演奏になったり、

今まで感じる事の出来なかった
新しい感覚を、
発見することが多くなりました。

それが一番、
新鮮な状態での演奏ではないかと思います。


そして一番の収穫は、

スランプにならなくなった
ということです。

演奏をするという事は、
たいへん繊細な感覚を必要とします。

この様に、精神的な影響を
受けやすいものだと実感して以来、

心が荒れて、雑にならない様に、
気を付けて生活するように
心がけています。


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