No.16 感性について バリトン歌手・合唱指導者 佐野正一

No.16 感性について

感性豊かな歌手の話です。

彼は若い頃、
デパートのチョコーレト屋さんで
バイトをしてのですが、

お客さんの

「何ぐずぐずしているんだ!!」

という罵声や

渡した商品を乱暴に掴み取っていく
お客さんの行動に、

傷つき、耐えきれず、
お店の先輩に相談したそうです。


すると、その先輩が、

「大丈夫、大丈夫、
慣れたら何も感じなくなるよ」

とアドヴァイスされ、

その「何も感じなくなるよ」

という言葉に、

またまたショックを受け、
バイトを辞めてしまいまったそうです。


普通なら、
そんな事で辞めるなんて
と思うのですが、

彼の歌を聴く限り、
とても繊細な音楽表現をする人なので、

本当に耐えられなかったのでしょう。


彼のようなタイプの音楽家は、

一生涯、その繊細な感性を大切にして、
演奏をして行くべきだと思っています。



私が知っている演奏家には、
彼のようにとても繊細で、

自分の世界をしっかり持ち、
素晴らしい演奏をする方もいますし、


逆に、ちょっとした事には全く動じない、
とても強い演奏家も知っています。

(繊細な感性を持っているのですが、
強い精神力も持ち合わせている人、

もう一方は、何も感じないために
とても強い人がいます。)


感性があっても、弱すぎると、

現実の厳しさに傷つき、
心の病気になってしまう人もいます。


心を開いて演奏をしないと、
お客様も心を開いて聴いてくれないのですが、


心を開いたままで、
そのまま普通の仕事をすると、
感じすぎて、傷ついてしまうようです。

心の開閉を上手くコントロールできると
良いのですが、なかなか難しいです。


私は、マイペースが一番強いと思っています。

人生における大きな流れは、
一個人の力では、
どうすることもできません。

そういう事に振り回されないで、

今、自分がやれる事を
しっかりやっていく事が、

メンタルを保ち、
前進していくための
最善の方法だと思っています。


アドバイス 目次
ニューヨーク メトロポリタン歌劇場
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