石川県のあるホテル
今はどこに行っても、 ホテルに外れる事がなくなりましたが、 昔は、色々な残念なホテルがありました。 ユニットバスのドアが閉まらないホテルや 部屋のごみを捨てていないホテル、 サロンパスの匂いがするホテルもありました。 これは、石川県に演奏旅行で行った時の あるホテルのお話です。 そのホテルは、 車から見ると大きく看板に 「ホテル」とそれのみが書いてある、 こじんまりとしたホテルでした。 ホテルの玄関に入ると 左手にはカーテンの閉まった、 受付のようなものもあり、 すぐに靴を脱いで、 スリッパに履き替えるという、 ホテルらしくないホテルでした。 私の部屋は、二階の一番奥でした。 部屋に入ると、 事務所にあるような机や更衣室のロッカーが、 変な位置に置いてありましたが、 あまり気にしない様にしました。 窓の外を見ると変電所がすぐ目の前にあり、 よい風景ではありません。 その日は演奏の疲れもあり、 おとなしく休むことにしました。 しかし、とても寝苦しく、 寝る事ができないでいると 追い打ちをかけるように、 その変電所から、 「ブーーーン」という 重低音が聞こえてきて、 5時には目が覚めてしまいました。 音がうるさくて、寝ることもできません。 ベットの上で適当に時間をつぶして、 6時半開始の朝食を待つ事にしました。 時間になり一階に食事に行くと、 メンバーの二人が食卓に座っており、 ヒソヒソと話をしていました。 話を聞くと、 二人共うなされ、寝ることができず、 いつもより早く食事に来たそうです。 私だけではなかったようです。 帰り際に話を聞いたのですが、 このホテルはもともと整形外科で、 開業して半年で、 なぜか廃業してしまい、 その病院を買い取って、 ホテルにしたそうです。 それで、事務机やロッカーが 部屋にあったのも納得できますが、 でも、寝にくかったのは、 もしかしたら、病室がホテルの部屋に なっていたからかもしれません。 「入り口の左の部屋が受付だとしたら、 診察室はあの部屋だろうから、 手術室はどこだったんだろう」 と勝手に想像をしてしまいました。 もうきっと営業していないと思いますが、 二度と泊まりたくないホテルです。 ※調べましたら、もう廃業して、 他のお店になっていました。 思い出 目次
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