No.4 欲との付き合い方 バリトン歌手・合唱指導者 佐野正一

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No.4 欲との付き合い方

欲との付き合い方

20代に多くのコンクールを受けました。

人には勉強の為と建前で言っても、
本心は、入賞したいとか、賞金が欲しい
などの動機で受験しました。

夢と言った方がきれいですが、
あえて欲にしておきます。

コンクール等を受けると
だいたいの人は本番が近くなるに連れて、

身体がだんだん思うように
動かなくなってきます。

風邪をひいたりなどもします。

私も、精神的な葛藤の中、
苦しみながら受けていました。

欲は、押さえ込もうとすると、
どんどん顔を出してきます。

しかし、

欲を持たないと
こんな大変なコンクールなんて
受けようとも思いません。

合否の発表前など、胃がきしみました。

未だにコンクールを行ったホールや
その最寄りの駅に来ると、

その時のことが思い出され、
身体が固まります。

身体は覚えているんですね。



私はある時、欲を飼うことにしました。

人間、欲があって当たり前なので、
それを認めるようにしました。

すると、前よりありのままの自分が
見えるようになり、自分なりの力が、
本番で出るようになりました。

精神的にも楽になりました。


道を歩いていると
「あなたは幸せですか」と
声をかけてくる方がいますが、

その本人はとても幸せそうですが、
その方の様に欲を否定してしまうと、

人間として、
地に足がついていないというか、
アンバランスな感じに見え、

実態がなくなってしまうように
思われました。

善と悪のバランスが取れてこそ
人間的なのだと思いました。

逆に、
私欲が強すぎるのもバランスが悪く、
腹黒いの人間に見えます。

それからは、
欲を抑え込むのではなく、共存し、
バランスを取ることにしました。

幸か不幸か、
歌は人間の感情を表現する
ことが多いですから、

そのバランスに焦点を合わせると
より深い解釈や表現が
できることが良くあります。


これは私の対処法ですが、

人生を左右するような大事な本番や
これからコンクールなどを受ける方に
役に立つかもしれません。

偉そうに書きましたが、
本番の時に、バランスを崩し、
後で落ち込むこともまだまだあります。

演奏というものは難しいものです。


アドバイス 目次
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