呼吸塾 感情の乗った声を作るための呼吸トレーニング

呼吸塾 感情の乗った声を作るために

東京藝術大学の学生の頃、
「呼吸塾」という劇団の研究団体に
通っていた事があります。

劇団「仲間」の代表を務めていた
俳優の生井健夫さんが、

自分の声が悪声のため、
何とか説得力のある声を作ろうと
研究を始めたのがきっかけで、

劇団「仲間」の稽古場で、
毎週一回、開かれていました。

稽古場に着くと、
まずは、呼吸を絡めた体操を行います。

息は、肺に入るのですが、
その膨らむなどの反応が、
お腹や背中に出てきます。

呼吸塾では、

身体を前面と背中面に
分けて考えます。

呼吸の反応が、前面の方に多く出ると
建前ブレスと呼び、

結果として、単色の音色しか出ません。


呼吸の反応が、背中に出てくると
人格ブレスと言って、

人間的な説得力のある音色が、
声に乗ってきます。


ただし、どうしても、
セリフや声を出そうとすると、
声を作ってしまう為、

まず、自彊術をアレンジした体操を行い、
身体の癖を取っていき、
素直に真っすぐな声が出る様にしていきます。

その声に、感情がのっていく様に、
呼吸を訓練していきます。

泣いたり笑いながら、
セリフを言ったり歌ったり、

本当に色々な感情の状態を作って、

歩いたり、机の下をくぐったり、
色々な体制で歌って、

トレーニングをしました。

自分にとって、あの頃の訓練が、
自分の身体の根本を作っていると
思っています。

ある時、呼吸塾の実験で、
役者さんがセリフを言う時の
相手役をやらされ、

手を握って彼女のセリフを聞く役を
したときのことです。

まず、普通の状態で、
彼女がセリフを言った時は、

言葉は理解するのですが、
聞いていて間が持たないので、

適当に相づちを打ったりしていました。

それから、ある状態を作ってもらい、

呼吸の反応を背中に入る様にしてから、
もう一度、セリフを言ってもらうと、

今度は、勝手に言っている事が、
身体に入ってきて、
何もしなくても間が持ってしまいました。

いわゆる、セリフではなく、
本当に言ってもらっている様だったのです。


この様な、あたかも本当に言っている様な
歌が歌えたら、説得力が増すはずだと思い
トレーニングを続けました。

現在も、そういう声を求めていますし、
欲求が増しているかもしれません。


年齢と共に体力は落ちていきますが、

若い頃に感じられなかった
より深い感情を感じて、

その音色が、色が声にのると良いなと
思っています。



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